定義
ヨーガ・スートラ 1.3 は、心のはたらきが鎮まった(停止した)とき何が起きるかを述べる一節です。
原文
तदा द्रष्टुः स्वरूपेऽवस्थानम्
tadā draṣṭuḥ svarūpe ‘vasthānam
タダー・ドラシュトゥフ・スヴァルーペー・アヴァスターナム
逐語分解
- タダー(tadā/तदा) : そのとき
- ドラシュトリ(draṣṭṛ/द्रष्टृ) : 見る者。語根 √dṛś(見る)※文中は属格 draṣṭuḥ
- スヴァルーパ(svarūpa/स्वरूप) : 本来のすがた。sva(自らの)+ rūpa(形)
- アヴァスターナ(avasthāna/अवस्थान) : とどまること、安住
※ svarūpe + avasthānam は連声により svarūpe ‘vasthānam。消えた a は アヴァグラハ(ऽ)で示されます。
和訳
そのとき、見る者は本来のすがたにとどまる。
解説
1.2 の直接の帰結です。心のはたらきが鎮まると、見る者(ドラシュトリ)が本来のすがたに戻る。
何かを新たに獲得するのではなく、もともとあったものが現れる。
この構図が、ヨーガ・スートラの解放観の核心です。
ドラシュトリは、後にプルシャ(純粋精神)と呼ばれる原理と重なります。
サーンキヤ哲学の枠組みを背景に持つ語で、心(チッタ)そのものではなく、心を見ている側を指します。
関連するスートラ
- YS 1.2 : この一節が受ける定義
- YS 1.4 : 鎮まっていないときはどうなるか
🔗リンク
ドラシュトリ(draṣṭṛ/द्रष्टृ)
スヴァルーパ(svarūpa/स्वरूप)
プルシャ(puruṣa/पुरुष)
カイヴァリヤ(kaivalya/कैवल्य)