定義
ヨーガ・スートラ 1.5 は、心のはたらきが五種であり、それぞれに二つの性質があると述べる一節です。
原文
वृत्तयः पञ्चतय्यः क्लिष्टाक्लिष्टाः
vṛttayaḥ pañcatayyaḥ kliṣṭākliṣṭāḥ
ヴリッタヤハ・パンチャタッヤハ・クリシュター・アクリシュターハ
逐語分解
- ヴリッティ(vṛtti/वृत्ति) : 心のはたらき ※文中は複数主格 vṛttayaḥ
- パンチャタヤ(pañcataya/पञ्चतय) : 五種の
- クリシュタ(kliṣṭa/क्लिष्ट) : 煩わしい、苦をもたらす。語根 √kliś(苦しめる)
- アクリシュタ(akliṣṭa/अक्लिष्ट) : 煩わしくない。a(否定)+ kliṣṭa
和訳
心のはたらきは五種であり、煩わしいものと、そうでないものとがある。
解説
ここから分類が始まります。1.2 で「鎮めるべきもの」とされたヴリッティを、パタンジャリはまず数え、次に定義していく。その導入がこの一節です。
注目すべきは クリシュタ/アクリシュタの対です。
心のはたらきは、それ自体が悪なのではありません。苦をもたらすものと、もたらさないものがある。
たとえば正しい認識(プラマーナ)は、無知を晴らす方向にはたらけばアクリシュタです。
ヨーガは心を消し去る道ではなく、心のはたらきかたを変える道である、この一節は、そう読むための鍵になります。
関連するスートラ
- YS 1.6 : 五種の名を挙げる
- YS 1.2 : 鎮めるべきものとしてのヴリッティ
🔗リンク
クリシュタ(kliṣṭa/क्लिष्ट)
アクリシュタ(akliṣṭa/अक्लिष्ट)
クレーシャ(kleśa/क्लेश) : 同じ語根 √kliś から。第2章が説く五つの煩悩。