解剖学英語の基礎知識

はじめに

Karen Yogaでは、英語表記・発音はアメリカ英語を基本としています。

ただし、イギリスやヨーロッパで出版された解剖学書やヨーガ関連書籍では、イギリス英語が用いられることも少なくありません。

ここでは、読者が海外の資料を読む際によく出会う違いを紹介します。


1.単語の違い

同じものを指していても、アメリカ英語とイギリス英語では異なる単語を使うことがあります。例えば、

アメリカ英語イギリス英語日本語
ElevatorLiftエレベーター
TruckLorryトラック
VacationHoliday休暇
ApartmentFlatアパート

このような違いは規則ではなく語彙の違いなので、それぞれ覚える必要があります。

Karen Yogaでは、必要に応じて

Elevator(米)/Lift(英)

のように併記します。


2.スペルの違い

英語には綴りの違いもあります。

代表的なのは次のようなものです。

アメリカ英語イギリス英語
CenterCentre
MeterMetre
ColorColour
FavorFavour
OrganizeOrganise
AnalyzeAnalyse

よく見られる規則としては、

  • -er ⇔ -re
  • -or ⇔ -our
  • -ize ⇔ -ise

などがあります。

解剖学では

Center → Centre

程度は見かけますが、それほど多くはありません。


3.発音の違い

発音も少し異なります。特に覚えておくと役立つのは次の点です。

🔸語末や母音の後の r

アメリカ英語

shoulder

/ˈʃoʊldər/

イギリス英語

shoulder

/ˈʃəʊldə/

アメリカ英語では r を発音しますが、標準的なイギリス英語では通常発音しません。

🔸母音に挟まれた t

アメリカ英語では

water

ワラー

のように聞こえることがあります。

イギリス英語では

ウォーター

とはっきり t を発音する傾向があります。

これは

  • Water
  • Better
  • Later

などにも見られます。

🔸母音の違い

アメリカ英語とイギリス英語では、同じ綴りの単語でも、使われる母音が異なることがあります。代表的な違いとして、次の三組があります。

1. /oʊ/ と /əʊ/

アメリカ英語イギリス英語
/oʊ//əʊ/

どちらも日本語では「オウ」に近く聞こえる二重母音です。

  • 米語の /oʊ/ は、「オ」から「ウ」へ移る音
  • 英語の /əʊ/ は、弱い「ア」に近い音から「ウ」へ移る音

英語の方が、出だしの母音がやや中央寄りになります。以下に例を挙げます。

単語米語英語
shoulder/ˈʃldər//ˈʃəʊldə/
acromion/əˈkrmiən//əˈkrəʊmiən/
bone/bn//bəʊn/

カタカナでは、どちらも基本的に「ショウルダー」「ボウン」などと表せます。実際の違いは、最初の「オ」の響きにあります。

2./ɑː/ と /ɒ/

アメリカ英語イギリス英語
/ɑː//ɒ/

この違いは、アメリカ英語の広く長い「アー」に近い音が、イギリス英語では唇を丸めた短い「オ」に近い音になるものです。

  • 米語の /ɑː/ は、口を縦に開いた「アー」
  • 英語の /ɒ/ は、唇を少し丸めた短い「オ」

単語米語英語
complex/ˈkɑːmpleks//ˈkɒmpleks/
fossa/ˈfɑːsə//ˈfɒsə/
body/ˈbɑːdi//ˈbɒdi/

たとえば fossa は、米語では「ファーサ」に近く、英語では「フォサ」に近く聞こえます。

ただし、カタカナ表記では通常、どちらも「フォッサ」のように表すことが多いため、発音記号を併記した方が違いを正確に示せます。

3./ɝː/ と /ɜː/

アメリカ英語イギリス英語
/ɝː//ɜː/

この二つは、母音そのものが大きく違うというより、r の音を伴うかどうかが主な違いです。

  • 米語の /ɝː/ は、母音に r の響きを加えた音
  • 英語の /ɜː/ は、r を発音せず、中央母音を長く伸ばす音

単語米語英語
girdle/ˈɡɝːdəl//ˈɡɜːdəl/
sternum/ˈstɝːnəm//ˈstɜːnəm/
nerve/nɝːv//nɜːv/

米語の girdle は「ガー」の部分に r の響きがありますが、標準的なイギリス英語では r を発音しません。

まとめ

米語英語違いの目安
/oʊ//əʊ/「オウ」の出だしが異なる
/ɑː//ɒ/米語は「アー」、英語は短い「オ」
/ɝː//ɜː/米語は r を伴い、英語は r を発音しない

アメリカ英語とイギリス英語では、同じ単語でも母音の響きが異なることがあります。たとえば、米語の /oʊ/ は英語では /əʊ/、米語の /ɑː/ は英語では /ɒ/ となることがあります。また、米語の /ɝː/ は r の響きを含みますが、標準的なイギリス英語の /ɜː/ では r を発音しません。これらの違いは、単語の意味を変えるものではありませんが、英米の発音を聞き分ける手がかりになります。


解剖学のラテン語について

解剖学用語の多くはラテン語やギリシャ語を語源としているため、英語であっても日常英会話とは異なる読み方や綴りが少なくありません。

例えば Clavicle はラテン語 clavicula(小さな鍵)、Scapula はラテン語 scapula(肩)に由来しています。