ヨーガ・スートラ 第1章2節(YS 1.2)

定義

ヨーガ・スートラ 1.2 は、ヨーガとは何かを定義する、この書の中心となる一節です。


原文

योगश्चित्तवृत्तिनिरोधः

yogaś citta-vṛtti-nirodhaḥ

ヨーガシュ・チッタ・ヴリッティ・ニローダハ


逐語分解

  • ヨーガ(yoga/योग) : ヨーガ。語根 √yuj(結ぶ)
  • チッタ(citta/चित्त) : 心。意識のはたらき全体。語根 √cit(気づく)
  • ヴリッティ(vṛtti/वृत्ति) : はたらき、動き、変容。語根 √vṛt(転がる、めぐる)
  • ニローダ(nirodha/निरोध) : 止滅、抑制、鎮まり。ni(下へ)+ √rudh(せき止める)

和訳

ヨーガとは、心のはたらきが鎮まる(停止する)ことである。


解説

ヨーガ・スートラ全編の土台となる一節で、この書はここでヨーガを定義してしまいます
アーサナでも呼吸法でもなく、心のはたらき(ヴリッティ)が鎮まった(停止した)状態こそがヨーガである、と。
以降の四章は、すべてこの一文の展開といえます。

ニローダをどう訳すかが、古来の論点です。「抑制」「制御」と訳せば力で押さえ込む響きになり、「止滅」「鎮静」と訳せば静まりゆく響きになります。ここでは、後の 1.12(修練と離欲による)を踏まえ、力ずくの制圧ではなく時間をかけて鎮まっていく過程として捉えます。

なお、この一節はアシュターンガ(八支則)を説く箇所(YS 2.29)よりはるかに前に置かれています。八支則は、この定義を実現するための手段として、後から示されるものです。

関連するスートラ

  • YS 1.1 : この定義に先立つ宣言
  • YS 1.3 : 心が鎮まったとき何が起きるか
  • YS 1.5〜1.11 : ヴリッティの分類

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